冬は受験の季節。毎年生徒さんの誰かが必ず受けているイギリスの、と言うか、世界のトップレベルの大学、オックスブリッジ。
二つの大学が「オックスブリッジ」とひとくくりで呼称されるのは、オックスフォードとケンブリッジがアカデミックレベル、歴史、構成、ティーチングメソッドなど、いろいろな意味で似通っているからでもあるし、また、この二つが併願できないから、という理由もあります。
秀才のあなた。どちらを受けるか選んでください。ついでに言うと、複数の学部やカレッジを受験することは許されないし、浪人合格もほぼ不可能に近い。文字通り人生ただ一度のチャンスであるオックスブリッジ受験。
出身校が出すAレベル試験(最終学年の5-6月に全英一斉に行われる)の予想グレードを含む成績証明書と推薦状、パーソナルステートメント(志望動機や自分自身のアピールを記した小論文)の3つをUCAS(大学受験センター)を通して10月に提出したら、志望学部やカレッジによっては指定される別枠の試験を受けたり、小論文を提出したりと、本業の受験勉強の傍ら忙しい日々が待っている。さらにこれらの書類審査にパスしたら、11月末から12月前半には面接考査があるので、その準備もしなければならない。これが実はなかなか大変。年末の今はちょうど面接も終わり、1月の合否発表(conditional offer)をドキドキしながら待つ頃ですね。
オックスフォード、ケンブリッジとも大学としての価値以外に、大学街として街自体が中世からの長い歴史があり、建物の美しさと品のある街並みの雰囲気が世界中の人々を惹きつけてやまない、イギリス有数の観光地でもあります。
私にとっては、生徒さんを連れて行ったり、図書館やワークショップなど、仕事や勉強で訪れ、用事が済んだらさっとロンドンに帰ることの多いケンブリッジですが、今年の夏のある一日、いつもと違って、お友達二人とプライベートでお出かけする機会がありました。今日は羅夢のCambridge 観光案内。
まずはカレッジ巡りから。
ケンブリッジには30余のカレッジがありますが、今回はキングスカレッジやセントジョンズカレッジと並んで常に人気の上位にランクされているクィーンズカレッジ(Queens' College)を訪ねました。
ケム川沿いに1448年建立。こじんまりとして歩きやすく、校舎やお庭が美しく、場所が街の中心に近く、従って美術館やカフェやレストランやパンティング(運河巡り)の船着き場にも近く、それなのにあまり混んでいなくて入場料が£5と良心的。こんなところが人気のようです。個人的にはよく手入れされたイングリッシュガーデンと何種類もの夏の花の美しさにすっかり魅了されました。
旧カレッジと新カレッジを結ぶのは木造の「数学の橋」。科学者ニュートンのデザインで一本のねじも釘も使わず造られた、という伝説がありますが、これはどうやら作り話らしい。そよ風の吹くケム川沿いの土手から、行きかう平底船を眺めるのはとても気持ちがいいものです。
カレッジの内部はオールドホールとチャペルを見ることができました。
カレッジ見学の後はケンブリッジ名物の川下り「パンティング」
平底船(punt)を一本の長いオールで操って航行します。写真下はケンブリッジで最も有名な橋「ため息の橋」とクレアブリッジ。
パンティングは何と言っても各カレッジを川側から眺められるのが魅力。上から時計回りに、ため息が出るほど美しいキングスカレッジのチャペル。セントジョンズカレッジ、そして、クレアカレッジ。
街歩きも楽しみました。
写真左上のカフェFitzbilliesはペンブルックカレッジの横にあり、シナモンロールが名物だけど、激甘で食べきれないから気をつけて、と、お友達の在校生ママから注意されました。確かに見た目はすごく美味しそうだけど、ここは軽食ランチの場として利用するのが正しい使い方らしい。
写真時計回りで、その隣のパブは今回ランチで訪れたThe Eagle。こちらもまた別の在校生ママからのご推薦。ケンブリッジでも最も古いパブの一つで、オリジナルは1353年築というから驚き。しかもこのパブは「DNAパブ」としても有名。曰く、DNA(の螺旋階段構造)発見者のフランシス・クリックとジェームズ・ワトソンは1週間に6日もイーグルで食事をしていた常連客だったのですが、1953年2月28日いつものようにイーグルに入ってきて「僕たちは生命の秘密を発見したよ!」と宣言した・・・。(お店のパンフレットによる。)そして、二人の科学者がいつも食事をしていたお気に入りのテーブルはその下の写真のものだそうです。(お食事中の方々ごめんなさい。)名物パブにつき常に満員で、サービスは遅めですが、とても感じのいいお店で、お味も悪くなかったです。
↓真ん中の写真は、ケンブリッジの新名物、コーパス・クリスティ・カレッジのバッタの金時計(2008年製作)車椅子の天才科学者ホーキンズ博士がお披露目したところから、「ホーキンズの時計」とも呼ばれています。
またこちら卒業生であるお友達に聞いたトリニティ・カレッジ前のヘンリー8世の石像。右手に剣ではなく、椅子の脚を握っているがため、皆から深く愛されている?!(理由は諸説あり。)
右下はニュートンが万有引力を発見したと言われるリンゴの木。(「もし本当ならどうしてまだこんなに小さいの?!嘘に違いない!」と三人で大騒ぎ。)
そのほか写真には写ってないけど、Jack's Gelato というアイスクリーム屋さんがこの付近にあり、これは数人の方から推薦され、並ばないといけないけれど、本当に美味しかったのでおススメです。
そして最後は、セルウィンカレッジのチャペルで合唱のコンサートを楽しみました.
本当は、この後アンティークとアートの美術館Fitzwilliam museum に行きたかったけれど、帰路の電車の時間が迫っていて諦め。次回夕方までいられる時に是非もう一度訪れたいです。
すっかり観光客になって、女子三人で大はしゃぎの一日。
プライベートのお出かけで、いつもとは違う顔のケンブリッジを見ました。